財産だけじゃない!大切な情報の残し方

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近年、「遺言書」の存在はかなりメジャーになってきています。
以前は、遺言書は富裕層が作るものというイメージがありましたが、法務局でも自筆証書遺言の保管業務を開始し、遺言書を作成すること自体、珍しいことではなくなっているのが現状です。

昨今の遺言書作成事情

実際に日本公証人連合会によると、令和3年の遺言公正証書の作成件数は106,028件、法務省民事局によると、法務局に自筆証書遺言書の保管申請があった件数は17,002件だそうです。公正証書遺言書に関しては、相続税の基礎控除額が引き下げらることとなった平成25年度の税制改正以降、大幅に件数が増加しています。

相続でよくあるお悩み

筆者自身、過去に信託銀行で遺言執行業務などの相続業務に長らく携わっており、累計100件以上の富裕層の相続手続きを行ってきました。
その中で、相続人の方々からよく聞いていたお悩みが、「被相続人(亡くなった方)がどこの金融機関に取引があったか、よく分からない」というものでした。

遺言書作成時点で取引のある金融機関については、遺言書の中に記載しておくことが多いのですが、遺言書を作成した後に、遺言者が新たな金融機関と取引を開始することが多いのも事実です。特に近年では、50代、60代とまだお元気なうちから遺言書を作成される方も多い傾向にあるため、該当するケースは多いと言えます。
筆者自身、お客様のご自宅で山積みになっている遺品が入った段ボール箱を一日がかりで捜索し、相続手続きのヒントになるような書類(通帳、カード、金融機関からのお手紙など)を探したこともあります。
遺言書で、「資産を誰にどのように相続・遺贈させるか」は明確に記載があるものの、どんな財産を持っていたかは、100%の確証がないケースが多々あります。

遺言書は基本的に遺言者に相続が発生した後にご葬儀や初七日を終えてから内容を確認するケースが多いです。
相続が発生して、すぐに遺言書の内容を確認しようとはなりにくいと思います。

よって、自身の相続発生後のことを遺言書だけにまとめておいても、実はあまり意味がない情報もあります。

例えば、「葬儀やお墓はこうしたい」という遺言書云々の前にご家族が知っておくべきことや、遺言書に記載することではないけど、誰かに知っていて欲しい情報=大切なものの保管場所や、自身が万が一認知症になった場合のことなどがまず最初に挙げられます。
他にも、最近ではネット銀行やネット証券の口座をお持ちの方も増えてきていることから、金融機関に取引があっても通帳などがないケースも多く、遺言書以外にもきちんと大切な情報をまとめておくことがより重要になってきています。

そのような情報もご家族のために予め共有しておく必要があります。
最近では、デジタル遺産が相続トラブルの要因となってしまうケースも後を絶たないといいます。
デジタル遺産とは、ネットバンクや仮想通貨などの口座情報、有料会員サービスの加入状況やIDパスワード、マイレージや各種ポイントカードの保有状況など、スマートフォンやパソコンなどインターネット上で管理されている情報のことをいいます。

プライベートデータ信託

近年、「エンディングノート」がメジャーになっています。
遺言書と違って法的効力はありませんが、万が一のことに備えて使っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。書店などでも様々な種類のエンディングノートが並んでいるのを見かける機会が増えてきているように思います。
エンディングノートはアナログなツールですが、一冊のノートに大切な情報をまとめて漏れなく残せる上に、自身のことを見つめ直すきっかけとして有効です。
一方で、近年みずほ信託銀行が大切なプライベート情報をデジタルで管理するための信託商品を開発しました。(プライベートデータ信託)

銀行基準のセキュリティで個人の情報を大切にお守りするというと、貸金庫を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、プライベートデータ信託では、新しい情報資産の守り方、残し方を提供しています。
相続発生前に見れる情報と、相続発生後でないと開示できない情報に分類できるというアナログなエンディングノートではないメリットもあり、情報によってご家族へ開示すべき情報、個人で管理しておきたい情報としっかり分けて管理することが可能です。

さいごに

まずは、ご自身の大切なご家族が困らないためにも、まずは財産をはじめ、情報の整理を行いましょう。
その後にそれぞれのニーズに合わせて、遺言書やエンディングノート、信託の活用など情報の残し方についてしっかりと考えることが大切です。

ネクストナビでは、相続に関するご相談も承っています。
現時点で相続税がかかるのか、かかる場合はいくら確保しておけば良いのか、誰にどのように残していきたいか、幅広くご相談を承ります。
お気軽にお問い合わせください。

【参考】
みずほ信託銀行のプライベートデータ信託「未来への手紙」
https://www.mizuho-tb.co.jp/souzoku/mirai_tegami/index.html

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