2023.08.08

富裕層向けサービスを提供する病院と一般向けの違い

はじめに

　政治家や芸能人、経営者など一部の富裕層達は何かあれば充実した医療を求めて名のある病院に行く。ニュースなどで「〇〇〇氏が山王病院に入院した」、「〇〇〇氏が聖路加国際病院に運ばれた」、「〇〇〇氏が慶應義塾大学病院で手術した」なんて言葉を耳にした方も多いだろう。

　しかし、そもそも一般の病院とは何が異なるのか、富裕層向けサービスを提供する病院としてどのような選択肢があるのか、知らない方も多い。

　経済的に余裕ができた譲渡オーナー（日本М＆Aセンターの仲介で会社を譲渡した元経営者）も自身の今後や家族の健康を考えてそうした病院に関心のある方も少なくない。

　そこで、本記事では富裕層向けサービスを提供する病院（東京都に限定）を簡単に紹介しつつ、一般向けと何が異なるのか解説する。なお、各病院の富裕層向けサービスの詳細については、次回以降に譲ることとする。

富裕層向けサービスを提供する病院ってどこがあるの？

　富裕層向けとして一般に知られる病院は次のとおりだ。

・社会福祉法人恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院（東京都港区）
・医療法人財団順和会山王病院（東京都港区）
・学校法人聖路加国際大学聖路加国際病院（東京都中央区）
・社会福祉法人三井記念病院（東京都千代田区）
・学校法人慶應義塾慶応義塾大学病院（東京都新宿区）

１　出産に関する医療に特化した「愛育病院」

　中でも上記①、②、③は高額な料金にも関わらず、出産希望者が後を絶たない「産院御三家」と言われる。特に愛育病院は出産に関する医療に専門的に取り組んでおり、昭和天皇が上皇陛下の御出産を記念して恩賜財団愛育会を昭和9年3月13日に創立。2006年には、秋篠宮妃紀子様が悠仁様を出産したから皇室との関わりが深い。

２　総合的な診療体制の山王病院

　山王病院は、全科をバランスよく揃え、各分野において高い専門性を持った医師やスタッフがいろいろな疾患に対応している。またホテルスタイルの充実したアメニティで病院とは思えないぬくもりと風格を感じさせる雰囲気だ。山王病院のエントランスには世界でも数少ないグランドピアノ「ベーゼンドルファー・インペリアル」が置いてあり、定期的にコンサートが開催されている。

３　先端医療を積極的に取り入れる聖路加国際病院

　聖路加国際病院は1901年、米国聖公会の宣教医師であるルドルフ・トイスラー博士によって創設された。以来、キリスト教精神に基づく全人的医療を実践し、近年、急性期医療を中心とした総合病院として歩みを進めてきた。伝統を重んじると共に、米国の先端医療や臨床教育を積極的に取り入れるなど、先進的な取り組みも行っている。2023年のNewsweek誌における病院の世界ランキングThe world’s best hospitalsで国内2番目、世界ランキング28位となった。

４　「慈善」の精神を貫く三井記念病院

　三井記念病院は、明治39年（1906）、旧三井総領家当主第10代・三井八郎右衛門氏による寄付で設立された。生活困窮者のみを無料診療する民間唯一の病院として明治42年（1909）に開院した。現在も三井グループが支援していることから、経済界や財界の要人に使われている。

５　私大医学部最高峰の慶應義塾大学病院

　言わずと知れた私大医学部最高峰の慶應義塾大学の学校法人慶應義塾が運営している。
　2023年のNewsweek誌における病院の世界ランキングThe world’s best　hospitalsで国内で6番目、世界ランキング108番目に選ばれた。

一般向けの病院と何が異なるのか

　結論から言うと、公的医療保険が使えるという点では一般の病院と何ら変わりない。各種治療のガイドラインも富裕層向けも一般向けもないからだ。

　しかし、最新機器などハード面やスタッフの質、ソフト面では大きく異なる。またプライバシー管理も万全だ。著名人が入院しても一切情報は外に漏れないと言ってよいだろう。「オーダーメード型」の治療や何か不足の事態が起きても即座にトップクラスの専門医に繋ぐことができる。富裕層向けサービスを提供している病院では他の医療機関と連携を強化しているため当然だ。